コラム

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『炒飯』 2001.1

 

 大好物である。毎日チャーハンでもいいくらい。そんなに食べれない事はわかっているのにラーメン屋では半チャンセットを頼んでしまう。
 厨房の良く見える位置に座って チャーハン作りをじっくり観察。中華鍋とお玉のみを使って、効率的に置かれた空き缶の調味料入れから、これは非効率的とも思える大きなお玉で 目分量の調味料を鍋に移す。

 ここからがチャーハン作りの醍醐味で 中華鍋を振り上げて天井高くチャーハンを宙で一回転、2回転。「ガチッ、ガチッ」と五徳に鍋をぶつける音もたまらない。まさに豪快かつ繊細な技。
 最後の宙返りをお玉でキャッチすると、逆さまにした皿をかぶし、その後その皿をひっくり返す。出来上がりである。
 お玉によって形づくられた半球体。レンゲでその一角をくずし、口の中へ。レンゲのスタイルのためか、口の形が不自然になる。

 高級中華料理屋などの「海鮮チャーハン」や「○○チャーハン」もおいしいと思うが、やっぱりラーメン屋のチャーハンである。ハム、ネギ、かまぼこ、卵というシンプルな材料の設定。なんといっても、発注から仕上がりまでのスピード感。鳥ガラスープの味がご飯全体にしみ込んで、ネギやハムの歯ごたえも感じとれる。幸せである。

 さて、だったら自分でやってみよう!ってハナシ。 誰もが言うことだが家庭で作るチャーハンの最大の欠点は ずばり「火力」である。この問題を解消するのは 鍋からけむりが出るくらい熱くしてから調理を始める。余熱でごまかすのだ。多めの油を鍋の隅々までなじませてまずは卵から。あっ、料理の基本かもしれないが、使用する材料はすべて事前に切って皿に入れておくこと。卵をいためたら一度皿に取り出す、という作り方もあるがこれは邪道である。最小限の食器・調理器具で作りたい。
  卵を入れたらすぐにご飯を放り込む。このご飯もポイントがある。一般的には冷やご飯のほうがいいとされている。べちゃべちゃなチャーハンになってしまうからだ。ところが、冷めたご飯は味がしみ込みにくいので冷やご飯の場合は電子レンジなどで温めてから使用する。ご飯を入れたら調味料と材料を入れて混ぜ合わせる。

 さぁ、必殺「宙返り」である。これが一番難しい。利き手の右手だとうまくいくのだが 右手はお玉を持つので左手で行なう。よく料理人は砂をいれた中華鍋で練習するという。 この「宙返り」には2つの意味がある。 ひとつは材料をまぜること、もうひとつは水分を蒸発させることである。家庭でチャーハンが上手くできないのはこの水分をとばすことができないからでもある。だから、かたまったまま宙返りしてもダメ。ご飯や材料がばらばらになりながら宙を舞う必要がある。「もういいよっ」ってくらい宙返りさせて 出来上がりである。

 やはり材料はシンプルがベスト。調味料は「ガラスープ」の粉末などを入れると ラーメン屋のチャーハンの味に近くなる。塩は多めの方が「労働者の味」。もちろん問題ある人は控えめに。最後にゴマ油をたらすのもポイント。

 と、初心者に贈る「チャーハンの作り方」である。 実はボクは料理が出来ない。だからガスレンジの周りは大変なことになっている。「男の料理はだから嫌だ」なのである。 宙返りに失敗したご飯つぶや材料が飛び散っているのだ。
  味にも満足しているわけではない。 材料を入れるタイミングや調味料の量などが決まらない。「じゃぁ今度食べさせて」と言われると困ってしまう。

  中華鍋は以前から持っていたが、家庭用ガスレンジをグレードアップする 「中華鍋用五徳」を最近買った。 底の丸い中華鍋のすわりをよくする五徳だ。ためしに「チャーハンの素」も勉強のため買ってみたが、これがかなしいかな、おいしいのである。
 しばらくはこの「チャーハン作り」にハマリそう。 冷蔵庫には常に卵、ネギ、ベーコンがストックされている。目指すはもちろん「ラーメン屋のチャーハン」。
 そしてうまくなったら、こう言って女の子を家に誘うのである。
「今夜はボクの家でワインでも飲みながらイタメシ(炒飯)なんてどう?」

文◎さかせがわてつや




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